こんにちは。
ホームコーディネーターの平井です。
今日は、シリーズでお伝えしております、木造住宅の耐震性と耐
久性についてお話したいと思います。
前回お話しましたメンテナンスをしなくても済む高い耐久信頼性
を備えた材料や技術を利用することが建物の耐久性を保つ有力な
対策になりますとお話させて頂きました。 (12月20日のブログ)
さて、今日はそのメンテナンスをしなくても済む材料や技術とい
うものはどんなものなのかお話したいと思います。
温暖な気候に建つ我が国の木造住宅では、何らかの水分が木材に
作用することによって劣化環境が形成され、それが一定時間以上
継続することで床や壁あるいは屋根の構造材に腐朽や蟻害が生じ
ることになります。
大壁の骨組では、内部の木材が下地や仕上げなどの材料によって
雨水や結露水などの水分の作用から保護されている間は、腐朽菌
やシロアリなどの生物による劣化は生じにくいのですが、仕上材
や下地材の経年劣化や故障あるいは設計、施工上の瑕疵によって
それらの保護システムが機能しなくなった場合には、水分の侵入
が一旦生じると、それが木材周辺での劣化環境の形成につながり
易くなります。
そのような場合でも、構造材である木材の耐久力が高く、その耐
久力が一定時間以上継続されるような材料を使用すれば、構造材
そのものの補修、交換などのメンテナンスをする頻度が少なくな
ります。
これは信頼性工学で言うところの「フェイルセーフ*1」にあたる
考え方であり、このような万が一の場合を想定した措置をとって
おくことが、建物の耐久性、特に大壁のような構造の耐久性向上
を図るうえで重要になります。
現在、そのようなフェイルセーフを可能とするような材料の選択
肢としては、ヒノキやヒバなどの耐朽性の高い樹種の心材を用い
るか、木材保存剤を工場で一定以上の量と深さに加圧注入した木
材を用いるかの2つがありますが、前者は現実的にはほとんど入手
不可能か、入手できたとしても非常にコストが高いものになって
しまうのが実態です。
したがって、加圧注入材で上記の条件を備えた材料があり、しか
もシックハウス問題などの健康面あるいはコスト面でも支障のな
いものがあれば、それが有力な技術的選択肢になります。
この様に、メンテナンス費用や時間を極力かけないようにする方
法は全くないわけではありませんが、そこにかける費用や方法を
考えた時に、新築の時にいかにメンテナンスに費用をかけないよ
うにするにはどうしたらいいのかをきちんと考えて、住まいの構
造も選ぶ必要があるのではないでしょうか。 平井
「フェイルセーフとは?」
故障や操作ミス、設計上の不具合などの障害が発生することをあらかじめ想定し、起きた際の被害を最小限にとどめるような工夫をしておくという設計思想。
例としては、石油ストーブが転倒すると自動的に消火するよう設計されていることや、加圧水型原子炉の制御棒の電源が切れると制御棒が自身の重さで炉内に落下して自動的に炉を停止させるよう設計してあることなどが挙げられる。
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