こんばんは。
ホームコーディネーターの平井です。
今日は、私が今までログハウス建築に携わり、木に関することで
疑問に思い、その都度調べてきたことの一部をお話したいと思い
ます。
皆さんは、建築材料に使われる「合板」が、奇数枚の単板を互い
に交差させて接着積層したものだというのをご存知でしたか?
なぜ、そのような構成なのでしょう。
まず、単板の状態を考えてみますと、よく知られているように、
ロータリーレース(※丸太を回転させながら切削し,大根をかつ
らむきするように単板を製造する機械の事。)で剥がれた単板は
薄くて、繊維方向に沿って細かい割れ(裏割れ)がたくさん入っ
ています。したがって、このままでは極めて弱いのです。
つまり、裂くと簡単に破けてしまいます。
逆に繊維方向に逆らった方が結構強いので、こちら方向には、そ
う簡単には割れません。
薪を割った経験がある方は、「確かに!」ですよね。
しかし、単板はいずれにしても板としてはペラペラのままです
ので、2枚を直交させて接着します。
すると、強い方向の単板が弱い方向の単板を補強することになる
ので、“せん断強度”や“割裂強度”の高いしっかりした板が出来上が
ります。
このため、釘なども打てるようになります。言い換えますと、
“弱い単板”が積層接着によって“強い板”になるのです。
それでは、この表裏の2枚あわせの板がそのまま使えるのでしょう
か? そうはいかないのです。実は、この板には寸法安定性の悪さ
という致命的な欠点が存在するのです。
もし、この板が湿ったり乾いたりして、単板が膨潤・収縮(伸
び・縮み)すると、繊維の方向とその直交方向とでは膨潤・収縮
率が10~20倍も違うので、板全体が簡単に反り返ってしまい
ます。
さらに熱圧による接着であれば、圧縮時に含水率が大きく変化し
やすいので、そもそも平坦な板をつくるのは難しいのです。
このような欠点を改良するための方法は簡単で、もう1枚上か下に
単板を直交積層して3層にすればいいのです。
こうすれば、上下の表板・裏板で互いにくるいが打ち消されて、
そりが生じにくくなります。もちろん、3枚以上の場合でも同じ
理屈が成り立ちます。4枚構成ではくるいが生じやすいので、5枚
構成でなければならないのです。
更に積層数が増えると縦横の異方性が減少してくるので、奇数枚
も偶数枚でも寸法安定性に及ぼす影響は小さくなりますが、い
ずれにしても、合板が奇数枚構成である理由は、寸法安定性の確
保のためなのです。
とはいっても、奇数枚構成であるからといって、全然くるいが生
じないわけではありません。
寸法安定性の高い製品を製造するためには、製造現場の技術的ノ
ウハウが不可欠なのです。
【技術的ノウハウ】は、建築全体にも同じことが言えるのでは
ないでしょうか。 平井
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